不動産投資の実践記録|買えなかった物件から始まった資産形成
前回は、本命として考えていた信金さんへ相談した時の話を書きました。
休日にもかかわらずスーツに着替えて向かったこと、支店長さんが同席してくれたこと、先にアパートを購入した後輩の信用が自分の相談を後押ししてくれたように感じたこと。そして、手元の現預金が少ない中で、物件価格部分の全額融資を希望していると正直に伝えたことを書きました。
今回は、なぜそこまで株を売らずに買いたかったのか。そして、全額融資をお願いしてから審査結果を待つまでの約2週間について書いていきます。
株式資産はある。けれど、現預金は多くない。
その状態で1棟目アパート購入に挑む中、私は「できるだけ株を売らずに買いたい」と考えていました。
本記事は私個人の体験談であり、特定の不動産購入や投資判断、融資利用をすすめるものではありません。
株は売れる。でも、できれば売りたくなかった
当時の私は、株式資産をある程度保有していました。
長く続けてきた高配当株投資のおかげで、評価額としての資産はありましたし、配当収入もありました。一方で、現預金には全く余裕がありませんでした。
不動産を買うには、物件価格以外にもお金がかかります。仲介手数料、登記費用、火災保険、固定資産税の精算、融資関連費用。さらに購入後には、空室対策や修繕費も必要になります。
今回の物件は、築古アパートで空室もある物件です。買った瞬間から満室で安定して回るような物件ではありません。だからこそ、購入後に使える資金をできるだけ残しておきたいと考えていました。
もちろん、金融機関から見れば「株式資産があるなら、売って自己資金を入れればいいのではないか」と思われても仕方ありません。
私自身も、必要であれば一部の株を売却する覚悟はありました。最低でも一定の自己資金は必要になるだろうという認識もありました。
それでも本音では、できるだけ売りたくありませんでした。
理由は、株式資産が単なる含み益ではなく、配当収入を生み出す土台だったからです。株を売れば一時的に現金は増えますが、その分だけ将来の配当収入は減ります。だからこそ、できるだけ株を売らずに買いたいと考えていました。
配当収入の伸びを体感できそうな時期だった
私は不動産投資を始める前から、高配当株投資を続けていました。10年以上前からコツコツ購入し、少しずつ株数を増やしてきたことで、配当収入も大きく育ち始めていました。
ちょうどその頃、これまでコツコツ積み上げてきた株式資産が、ようやく拡大のフェーズに入り始めている感覚がありました。保有株からの配当収入も増え、増配や再投資によって、これからさらに伸びを体感できそうなタイミングだったのです。
ここで株式資産を多く売却してしまえば、せっかく育ってきた配当収入の流れを弱めてしまう。それは避けたいと思っていました。
さらに印象に残っているのは、長く保有していた主力銘柄の株価が、信金さんへ初回訪問した頃から不思議なほど上がり始めたことです。
本当にドラマのようなタイミングでした。
信金さんへ相談している期間中、日々株価が上がり、資産総額も大きく膨らんでいきました。これまで長い時間をかけて積み上げてきた株式資産が、ようやく目に見える形で報われ始めている。そんな感覚がありました。
だからこそ、ここで株を大きく売りたくないという気持ちはさらに強くなりました。
一方で、資産総額が膨らんでいく様子を見て、もし本当に必要であれば一部売却してでも対応できるかもしれない、という気持ちも出てきました。
株価の上昇は、株を売りたくない理由にもなりました。
同時に、この物件を手に入れるために腹を決める後押しにもなりました。
信金さんとの面談では、スマホの配当管理アプリも見せながら、現時点での株式の評価額と、今期の配当金見込みをお伝えしました。
ただ単に「株式資産があります」と伝えたかったわけではありません。
10年以上前からコツコツ購入し、少しずつ増やし続けてきた銘柄が値上がりしていること。そして、配当も大きく育ってきていること。
その積み重ねを、できるだけ具体的に伝えたかったのです。
私の余裕資産のほとんどは、現預金ではなく株式資産でした。
その点については、信金さんも少し驚いていたように感じました。一般的には、不動産を買うなら現預金を厚く持っている方が安心に見えると思います。
その流れで、「なぜそこまで攻めているのですか」という趣旨の質問も受けました。
確かに、金融機関から見ればかなり攻めた資産配分に見えたのかもしれません。
その時、私は、自分はまだ若く、稼げると思っていること、万一所有している株式に大きなことがあっても、自分と家族が食べていく分くらいは稼ぐ自信があること、そして50歳までは攻めるつもりでいることを伝えました。
今思えば、少し勢いのある言い方だったかもしれません。
その言葉を聞いた担当者さんと支店長さんには笑われました。
ただ、バカにされたような笑いではなく、私の考え方や覚悟を、少し面白がって受け止めてくれたように感じました。
このやり取りも、信金さんでの面談の中で印象に残っている場面です。
もちろん、これは誰にでもすすめられる考え方ではありません。今振り返っても、かなり攻めた資産配分だったと思います。
ただ、当時の私は、自分なりにリスクを理解したうえで、株式資産と不動産を両方育てていきたいと考えていました。
2棟目も見据えていた
不動産投資を始めたいと思ったのは、株式投資をやめるためではありません。
むしろ、給与収入、株式からの配当収入、不動産収入をそれぞれ育てて、資産形成の柱を増やしたいという考えでした。
信金さんには、配当収入を減らしたくないこともシンプルに伝えていました。
株式、不動産、給与収入を、それぞれ単体で黒字化させ、可能な限り単体で育てていきたい。株を売って不動産を買うのではなく、株式から生まれる配当収入も維持し、拡大させながら、不動産賃貸業を育てていきたい。配当収入はあくまで有事の際のセーフティーネットにしておきたい。
そんな考えを伝えていました。
一方で、信金さんには話していませんでしたが、自分の中ではすでに2棟目も見据えていました。
銀行には話していませんでしたが、自分の中では2棟目も見据えていました。
1棟目を株を売らずに購入できれば、配当収入を維持できます。配当再投資や増配によって配当収入がさらに育てば、将来2棟目を取得する時の大きなアドバンテージになると考えていました。
逆に、1棟目の段階で株式資産を大きく崩してしまえば、2棟目に向けた金融資産の厚みも弱くなります。だからこそ、できるだけ株を売らずに1棟目を買いたかったのです。
全額融資をお願いした理由
信金さんに対して、私は物件価格部分の全額融資を希望していると伝えました。
この言葉だけを聞くと、無理をして買おうとしているように見えるかもしれません。
でも、自分の中では少し違いました。
無理をしたかったわけではありません。むしろ、買った後に無理をしないために、物件価格部分はできるだけ融資で対応したかったのです。
築古アパートは、買った後からが本番です。空室対策、原状回復、設備交換、外回りの修繕、入居付けのための広告費。細かい支出は、あとからいくらでも出てきます。
購入時に手元資金をほとんど使い切ってしまえば、買った後の運営が苦しくなります。空室が続いた時に修繕したくてもできない。設備交換が必要なのに資金が足りない。せっかく物件を買えても、その後の運営で詰まってしまう。それが怖かったです。
だから、諸経費は手出しになったとしても、物件価格部分はできるだけ融資で対応したい。株式資産を大きく崩さず、購入後の運営資金を残したい。
それが私の中での資金計画でした。
もちろん、金融機関から見れば簡単な相談ではなかったと思います。
初めての1棟アパート。築古。空室あり。現預金は少ない。そのうえで全額融資を希望する。
かなり厳しい条件だったはずです。
それでも信金さんは、最初から否定せず、本部に上げられるように善処すると言ってくれました。この言葉は、本当に大きかったです。
融資は進んでいる感触。でも怖かった
信金さんでの面談後、審査結果が出るまではおおむね2週間ほどかかりました。
正直、面談の時点で、融資自体は何とかしてくれそうな感触もありました。支店長さんも同席してくれましたし、担当者さんからも前向きな言葉をいただいていました。
それでも、初めての1棟アパート購入です。
本当に融資が通るのか。希望している条件に近い形になるのか。頭金をどれくらい求められるのか。まったく分かりませんでした。
融資自体は前に進んでいる気がする。
でも、怖い。この感覚がずっとありました。
審査の過程では、必要な書類を求められました。収入に関する資料、資産状況が分かる資料、住宅ローンや自宅に関する資料、物件に関する追加資料。
求められたものを一つずつ準備して、信金さんへ届けました。
書類を届けるたびに、少し前に進んでいるような気持ちになります。一方で、「これで足りるのか」「追加で何か言われるのか」「本当に通るのか」という不安もありました。
資料を出すこと自体は、やるべきことです。
でも、資料を出したからといって通るわけではありません。
提出するたびに期待して、また待つ。
その繰り返しでした。
売買担当者さんから確認が入った
融資申し込みをしてから1週間ほど経った頃、売買担当者さんから確認の連絡が入りました。
「融資の結果はどうですか?」
買付を入れたあと、融資がどうなるのかは売買担当者さんとしても気になるところです。売主さん側との調整もありますし、いつまでも結果が分からないまま待ってもらえるわけではありません。
私自身も、毎日のように気になっていました。
信金さんから連絡が来ないか。審査は進んでいるのか。本当に通るのか。そんなことばかり考えていたタイミングでした。
売買担当者さんから確認の連絡をもらったことで、私も信金さんへ問い合わせることにしました。
「審査結果は、いつ頃出そうですか?」そう担当者さんに確認すると、
「本店の審査部へは、必要書類をすべて上げています。遅くとも、あと1週間ほどで結果は出ると思います」
という回答でした。結果が出たわけではありません。通ると言われたわけでもありません。
それでも、必要書類はすべて本店の審査部へ上がっている。あと1週間ほどで結果が出る見込み。
そう聞いて、少しだけ前に進んでいる感覚がありました。
融資が完全に否定されているわけではない。むしろ、きちんと本店の審査部まで進んでいる。
少し安心した一方で、まだ結果が出たわけではありません。
初めてのことなので、どこまで期待していいのか分からない。
前に進んでいる感触はある。でも、やっぱり怖い。そんな気持ちでした。
2番手・3番手の存在で腹が決まった
信金さんから聞いた内容を、そのまま売買担当者さんへ伝えました。
すると、売買担当者さんからもう一つ話がありました。
私のほかにも、購入希望者がいるという話です。
2番手、3番手まで購入希望者がいる。
ただ、あと1週間ほどで結果が出る見込みであれば、そこまでは待ってくれるとのことでした。
その話を聞いた時、かなり焦りました。
自分が前向きに進めているつもりでも、この物件を欲しいと思っているのは自分だけではありません。融資結果が出るまでの時間も、無限に待ってもらえるわけではありません。
希望としては、物件価格部分を全額融資でお願いしていました。
ただ、私自身も、実際には1割から2割程度の手出しが必要になる可能性はあるだろうと考えていました。そうなれば、株式を一部売却する必要が出てきます。
できれば株は売りたくない。配当収入も減らしたくない。購入後の運営資金も残したい。
そう考えていたのは事実です。
でも、2番手、3番手がいると聞いた時、気持ちが変わりました。
条件がどうなるかは分からない。株を売る必要が出るかもしれない。それでも、この物件を手に入れたい。この時、私の中で腹が決まったように感じました。
株は売りたくない。でも、もし必要なら売る覚悟もできた。
それくらい、この物件を手に入れたいと思うようになっていました。
審査結果を待つ2週間は、ただ結果を待つだけの時間ではありませんでした。
株を売らずに買いたいという自分の方針、現預金が少ないという現実、主力銘柄の株価上昇によって膨らんでいく資産総額、2番手・3番手の購入希望者がいるという焦り、そして信金さんがどう見てくれるのかという不安。
その全部が混ざる中で、自分の本気度を確認する時間でもありました。
次回へ
今回は、株を売らずに1棟目を買いたかった理由と、融資審査の結果を待つ約2週間について書きました。
配当収入を減らしたくない。購入後の運営資金も残したい。そして、将来の2棟目も見据えていた。
その思いから、私はできるだけ株を売らずに、物件価格部分の全額融資をお願いしました。
ただ、2番手・3番手の購入希望者がいると聞いたことで、最後は「必要なら株を売ってでも、この物件を手に入れたい」と腹が決まっていきました。
次回は、いよいよ信金さんからの連絡について書いていきます。
待ち続けた審査結果はどうだったのか。全額融資の希望は通ったのか。
その時のことを書いていきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
※本記事は私個人の体験談であり、特定の不動産購入や投資判断、融資利用をすすめるものではありません。不動産投資には空室、修繕、金利上昇、価格下落、融資不承認などのリスクがあります。実際の投資判断や融資相談はご自身の状況に応じて慎重にご判断ください。



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