「貯金が趣味」はもったいない?『DIE WITH ZERO』を読んで私が打倒・倹約を決意した理由

DIE WITH ZERO(ゼロで死ね)の書評・要約アイキャッチ画像 豊かに生きるヒント

「将来が不安だから、今はとにかく貯金。」 「老後のために、贅沢は定年を迎えてから。」

そう信じて、日々の節約や仕事を頑張っていませんか? かつての私も完全にその一人でした。通帳の数字が増えることに安心感を覚え、ちょっとした贅沢を後回しにする日々。

しかし、40代の私が、ある1冊の本に出会ったことでその価値観はガラガラと音を立てて崩れ去りました。

それが、ビル・パーキンス著『DIE WITH ZERO(ゼロで死ね)』です。

この本が突きつけてきたのは、「死ぬ時に一番金持ちで、本当に幸せなのか?」という、現代の常識を覆す問いでした。今回は、節約をしてすべて投資にまわし、増えていく評価額を眺めることが趣味だった私が、なぜ「打倒・倹約」を決意し、今この瞬間に投資を始めたのか、30〜50代の私と同世代のあなたにこそ伝えたい「人生の最大化」についてお話しします。

私たちが陥っている「貯金という罠」

30代、40代、50代。私たちは人生で最も働き盛りであり、同時に教育費や老後資金など「お金の不安」が一番リアルに襲ってくる世代です。だからこそ、多くの人がこう考えます。 「今は我慢して貯めて、老後に楽しもう」と。

しかし、本書はそこに鋭い一撃を入れます。 「人生で一番若いのは、今日だ」と。

定年退職を迎える60代、70代になったとき、今と同じだけの体力や気力があるでしょうか? 20代の時の1万円と、80代の時の1万円では、その価値(=それを使って得られる感動や経験の質)が全く異なるのです。お金を貯めることに必死になりすぎて、最もエネルギーがある「今」という貴重な時間を犠牲にしていることこそが、最大の機会損失だと気づかされました。

なぜ「今、経験にお金を使うべき」なのか?

本書が教えてくれた最も重要な概念、それが「経験の配当」です。

若いうち、あるいは動けるうちに素晴らしい経験(大切な人との旅行、美味しい食事、新しい趣味への挑戦)をすると、その記憶は人生の後半に向けて、ずっと「思い出」という配当を生み出し続けます。

年齢を重ねて体力が衰えたとき、私たちを豊かにするのは通帳の残高ではなく、「あの時、あそこに行って本当に良かった」という思い出の数々です。

「人生は経験の合計だ。死ぬ時に残るのは、集めた思い出だけ」

この言葉を見た時、私はハッとしました。老後の安心のために、今しかできない家族との思い出や、今しか味わえない感動を先送りにしてどうするのか、と。

とはいえ、これまで築いた「貯蓄の習慣」は簡単には変えられない

「老後のためにお金を残すな」「若いうちに使い切れ」 本の理屈は分かっても、これまで真剣に資産を増やしてきた人ほど、急に方向転換することなんて簡単ではないはずです。私自身、これまでコツコツと積み上げてきた資産形成のベースがあるからこそ、「じゃあ、今日から貯金をやめて散財しよう」とは到底なれませんでした。極端なゼロか百かの思考は、かえって将来の不安を大きくするだけです。

そこで私が今、自分自身の人生を賭けて挑戦しているのは、単なる散財ではなく「すべての基準を上げて、去年の自分を超えていく」という生き方です。

私が意識しているのは、以下の4つのサイクルを同時に、そして前年比プラスで回していくことです。

  • 【稼ぐ】去年より稼いで、原資(収入)を増やす
  • 【使う】去年より使って、経済を回しつつ「経験」への投資(支出)を増やす
  • 【蓄う】去年より蓄え(資産)も増やして、将来の安心も強固にする
  • 【経験】去年より「初めての体験」や「感動」の数を増やす

「貯金を減らして経験に充てる」のではなく、「もっと稼ぎ、もっと蓄え、それと同時に、もっと使って、もっと経験する」

これなら、これまで培ってきた資産形成のスキルを一切無駄にすることなく、人生の満足度(思い出の配当)も同時に最大化していくことができます。守りに入るのではなく、自分の人生の総量を全方位に拡大していく挑戦です。

実践初期の失敗と気づき:とりあえずブランド品を買ってみたけれど…

「もっと使って、もっと経験する」 そう決意した初期の私が、まず手をつけたのは「これまで遠慮していたものにお金を使ってみる」ことでした。特に分かりやすかったのが、ブランド品などの高価な買い物を自分に許可することです。

実際に思い切って購入してみることで、良い成果もありました。 「自分もこの洗練された世界、ワンランク上の世界になじもう」と努力するようになり、ビジネスに向かうモチベーションや、身だしなみへの意識が引き上げられたのは間違いありません。

しかし、すべてが成功だったわけではありません。 中には、「払った金額のわりには、見合った喜びや感動が感じられないな……」と、がっかりした買い物も数多くありました。

今振り返れば、当時の私は「お金の使い方が下手くそ」だったのです。ただ高いものを買うことが、人生の最大化に繋がるわけではないという、手痛い(けれど必要な)勉強代でした。

費用以上の満足をくれたのは「大切な人との時間」だった

そんな試行錯誤を繰り返す中で、私が「これこそが正解だ」と確信を持てるお金の使い方が見えてきました。

それが、「家族との旅行」や「大切な仲間との会食」への投資です。

これらには、払った金額を遥かに超える満足感、そして何物にも代えがたい「経験」と「一生モノの思い出」が残りました。五感が元気な今、大切な人と共有する時間の価値は、通帳の数字やモノの所有欲を完全に凌駕したのです。

モノではなく「経験」にお金を使う。 失敗を挟みながらも、そんな経験を積み重ねることで、私も少しずつ「お金の使い方が上手になってきている」という確かな手応えを感じています。

あなたの人生のピークは、今ここにある

老後の不安をすべて無視して散財しろ、と言っているわけではありません。大切なのは「バランス」です。

でも、もしあなたが「老後の安心」のために、今日のワクワクや、大切な人との時間を我慢しているとしたら……それは本当にもったいないことです。

死ぬ瞬間に通帳に並ぶ数字は、あなたを幸せにはしてくれません。

人生で一番若い今日、あなたは何にお金と時間を使いますか? 私は今日も、「今しかできない経験」に投資を続けます。まずは、ずっと気になっていたあのお店に、少し贅沢なご飯を食べに行くことから始めてみませんか?

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