「長期投資って本当に必要なの?」「個別株はなんだか怖い……」
そんなふうに感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は、奥野一成氏監修の『サクッとわかる ビジネス教養 投資の基本』をご紹介します。
本書は、NISAの普及によって投資を始めた初心者の方から、次のステップへ進みたい投資家に向けて、長期投資の本質を分かりやすく解説した一冊です。
全世界株式やS&P500といったインデックス投資だけでなく、個別企業への投資についても考えるきっかけになります。
特に印象的だったのは、著名投資家ウォーレン・バフェットの投資哲学にも通じる、競争優位性を持った「強い企業」を見極めるという考え方です。
私は30歳頃から株式投資を続けていますが、本書には自分自身が長年大切にしてきた投資方針と重なる部分が多くありました。
今回は、長年個別株投資を続けてきた会社員の目線から、本書を読んで感じたことをご紹介します。
1.10年で資産を2倍にする投資先選びの考え方
本書では、株価の短期的な上下に振り回されるのではなく、企業の「稼ぐ力」に注目することの重要性が解説されています。
企業が商品やサービスを通じて付加価値を生み出し、利益を積み上げていく。その成長が長い時間をかけて企業価値の向上につながっていくという考え方です。
「10年で資産を2倍にする」という目標も、単に値上がりしそうな株を探すのではなく、長期的に利益を生み出せる企業を見つけるという視点から紹介されています。
ただし、どれほど優れた企業でも、必ず株価が上昇するわけではありません。
業績が好調でも株価が割高であれば、その後に下落する可能性があります。また、競争環境の変化によって、それまでの強みが失われることもあります。
私自身、長年の投資経験の中で、期待していた企業の株価が下がったり、配当が減ってしまったりすることを経験してきました。
だからこそ、企業の収益力を確認するだけでなく、購入する株価が適正なのかという点も大切にしています。
本書を読んで、改めて企業の中身を見て投資することの重要性を感じました。
2.一生売らない「オーナー型投資」の極意
本書では、短期的な売買で利益を狙うのではなく、優れた経営陣が率いる企業を応援し、その成長の成果を株主として分かち合う「オーナーシップ」の視点が強調されています。
日々の値動きに惑わされず、長期保有によって企業の成長を見守るという考え方です。
実は、私も銘柄選びの際に大切にしているチェックポイントがあります。
それは、オーナー社長や会長、その一族、資産管理会社などの持株比率を確認することです。
特に規模の小さなオーナー企業では、経営者自身が多くの株式を保有しているケースがあります。
経営者も株主として配当を受け取る立場にあるため、一般株主と利益還元に対する考え方が一致する場合があります。
私のように配当を重視する投資家にとっては、注目したいポイントの一つです。
ただし、オーナーの持株比率が高ければ必ず増配してくれるわけではありません。
経営者が利益を事業の成長に再投資する方針であれば、配当が少ないこともあります。また、大株主の意向が少数株主の利益と必ずしも一致するとは限りません。
そのため、私は持株比率だけでなく、過去の配当実績や利益の推移、財務状況、経営者の考え方なども確認するようにしています。
こうした視点は、18年ほど前から変わらず、私の銘柄選びの基準の一つになっています(笑)。
長期保有と、何も考えずに持ち続けることは違う
もう一つ、私が長期投資で大切にしていることがあります。
それは、購入したときの判断が、現在も通用するのかを確認することです。
私は基本的に長期保有を好みますが、企業の業績や財務状況が悪化した場合には、当然ながら投資判断を見直す必要があると考えています。
株価が下がったからといって、すぐに売却する必要があるとは限りません。しかし、業績が悪化しているにもかかわらず、以前の判断にこだわって持ち続けることも危険です。
本書の「オーナー型投資」という考え方は、企業を長く応援する一方で、経営や事業の状況を継続して見ていく姿勢が大切なのだと、改めて考えるきっかけになりました。
3.大人のための教養としての位置づけ
本書は、単なる投資テクニックの紹介にとどまりません。
インフレによってお金の価値がなぜ目減りするのか、企業に投資するとはどういうことなのか。そうした経済の基本的な仕組みについても、分かりやすく整理されています。
投資というと、どうしても株価の値動きや利益ばかりに目が向きがちです。
しかし、本来の株式投資は企業の事業活動に資金を投じ、その企業が生み出す価値の一部を株主として受け取るものです。
私自身も投資を始めた頃は、目先の株価に一喜一憂することがありました。
ところが、長い時間をかけてさまざまな企業を見ていると、株価だけでなく、実際にその会社が何をして利益を生み出しているのかを考えることが面白くなってきます。
本書は、そんな企業への投資の楽しさを知るきっかけにもなると思います。
一般的な金融知識や投資の基礎が分かりやすく解説されているので、初心者の方だけでなく、ある程度経験を積んだ方が基本を復習するためにも役立つ一冊ではないでしょうか。
4.長年の投資経験から感じた、個別株投資の楽しさ
私が個別株投資を長く続けている理由の一つは、自分で企業を調べ、納得して投資先を選ぶことが楽しいからです。
もちろん、すべての投資がうまくいったわけではありません。
株価が大きく下落したこともありますし、期待していた配当が減ってしまったこともあります。
それでも、自分なりに企業を分析し、将来の成長や株主還元を考えながら投資することには、投資信託の積立とはまた違った魅力を感じています。
一方で、個別株は一つの企業の業績や経営判断によって、大きな損失を受ける可能性があります。
そのため、すべての方に個別株投資をおすすめするつもりはありません。
S&P500や全世界株式など、幅広い企業に分散投資できる投資信託を中心に資産形成する方法も、十分に合理的な選択だと思います。
ただ、もし投資信託の積立に慣れてきて、もう少し企業について知りたいと感じたら、個別株投資の世界をのぞいてみるのも面白いかもしれません。
最初から大きな資金を投じる必要はありません。
気になる企業を調べ、業績や配当方針を確認し、株価がどのように動くのかを観察する。それだけでも、経済や企業を見る視野が広がっていくと思います。
5.『投資の基本』はこんな方におすすめ
本書は、これから株式投資を始めたい方や、NISAで投資信託の積立を始めたものの、個別株にも興味を持ち始めた方におすすめです。
特に、「株価が上がりそうだから買う」という考え方から一歩進んで、企業の収益力や競争優位性について学びたい方には、参考になる部分が多いと思います。
また、私のように長年個別株投資を続けている方にとっても、自分の投資方針を振り返る良い機会になるでしょう。
ただし、具体的な銘柄の購入価格や売却タイミングを教えてくれる本というよりも、長期投資に必要な基本的な考え方を学ぶための一冊です。
すぐに大きな利益を出す方法を求めている方には、少し物足りなく感じるかもしれません。
まとめ|長期投資の基本を改めて考えさせられた一冊
『サクッとわかる ビジネス教養 投資の基本』は、長期投資の大切さを分かりやすく解説した書籍です。
私自身、長年個別株投資を続けてきましたが、企業の収益力や経営者の考え方、株主還元の姿勢を重視するという点で、共感できる部分が多くありました。
もちろん、優れた企業に投資すれば必ず利益が出るわけではありません。
株価が大きく下がることもありますし、自分の判断が間違っていることもあります。
それでも、自分なりに企業を調べ、納得できる投資先を見つけることは、個別株投資の大きな楽しみの一つだと思っています。
「個別株は怖い」「損をするのが嫌だ」という方も、まずは本書を通じて、企業への投資とはどのようなものなのかを知るところから始めてみてはいかがでしょうか。
これまでインデックス投資だけに取り組んできた方にとっても、新しい楽しみが見つかるかもしれません。
私もこれから、会社員として働きながら、自分のペースで長期投資を続けていきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




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