不動産投資の実践記録|買えなかった物件から始まった資産形成
前回は、3月5日の朝に初めての青色申告を提出した話を書きました。
今回は、その申告を終えた後の話です。
初年度の決算書を持って、融資を受けた銀行さんへ報告に行きました。
結果は赤字。
ただ、この赤字は想定外ではなく、融資担当者さんにも事前に話していた内容でした。
それでも、実際に赤字の決算書を持参する時は、やはり不安も緊張もありました。
今回は、赤字の中身をどう説明したのか、そして株を崩さず不動産単体で現預金を積み上げたいと考えた理由について書いていきます。
なお、具体的な物件情報や金融機関名、詳細な金額などは一部ぼかして書いています。
また、本記事は私個人の体験談であり、特定の投資判断や金融機関の利用をすすめるものではありません。
初年度赤字は、ある程度想定していた
1棟目アパートを購入して、初めて迎えた決算。
結果として、初年度は赤字でした。
赤字という言葉だけを見ると、少し不安に感じる方もいるかもしれません。
ただ、私の場合、初年度の赤字はある程度想定していました。
むしろ、1棟目アパートを購入する前から、最初の数年間は会計上赤字になりやすいと考えていました。
理由は大きく3つあります。
購入時の諸経費がかかること。
購入直後に空室対策の費用がかかること。
そして、築古物件ならではの減価償却を活用できる期間があることです。
不動産賃貸業では、家賃収入があっても、それがすべて手元に残るわけではありません。
管理費があります。
修繕費があります。
固定資産税や保険料もあります。
借入金の返済もあります。
さらに、購入直後は空室対策の支出も重なります。
特に1棟目は、購入して終わりではありませんでした。
空室を埋めるために動く必要がありました。
部屋の状態を整える必要もありました。
募集条件や設備面も考える必要がありました。
そのため、初年度からきれいに黒字で決算を終えるというよりは、まずは物件を立て直し、満室に近づけ、運営の土台を作る期間だと考えていました。
そしてもう一つ大きかったのが、減価償却です。
築古物件の場合、建物部分を短い期間で償却できるケースがあります。
私の場合も、最初の数年間は減価償却の影響が大きく出ることを想定していました。
そのため、会計上は赤字になりやすい。
でも、その赤字は単純に「事業がうまくいっていない赤字」とは少し違います。
現金が出ていない減価償却費が大きく反映されることで、会計上の利益が圧縮される面があるからです。
もちろん、赤字なら何でも良いという話ではありません。
赤字にも中身があります。
家賃収入が足りず、毎月の資金繰りも苦しい赤字なのか。
購入直後の一時的な支出や減価償却の影響による赤字なのか。
この違いは大きいです。
私の場合、初年度の赤字は当初からある程度イメージしていた流れに近いものでした。
株式資産を取り崩したくなかった
私の場合、不動産賃貸業を始めたからといって、株式資産を簡単に取り崩したいとは考えていませんでした。
むしろ、株式資産は株式資産として、さらに強固にしていきたい。
高配当株を中心に積み上げてきた資産は、これまでの自分の資産形成の土台です。
不動産を買ったから、その資金繰りのために株を売る。
それは、自分の中ではできるだけ避けたい選択でした。
第1話から書いてきたように、私は過去に400万円程度の区分マンションを買えなかった経験があります。
当時は、株を売れば買えたかもしれません。
でも、そのタイミングでは株を売れませんでした。
その時は、買えなかった悔しさが残りました。
ただ、結果的に株式資産を売らずに持ち続けたことで、後の1棟目アパート購入時に資産背景として意味を持ちました。
だからこそ、1棟目を購入した後も、株式資産を崩して不動産の資金繰りを埋めるのではなく、不動産賃貸業は不動産賃貸業として、できるだけ単体で強くしていきたいと考えていました。
ただ、現実は甘くありません。
不動産用の通帳に、最初から十分な余裕があったわけではありません。
むしろ、手元現預金は少なく、空室対策や修繕、設備交換が重なれば、すぐに苦しくなる状態でした。
株式資産を含めた全体で見れば、総資産としてはそれなりにある。
でも、不動産賃貸業の通帳だけを見ると余裕はない。
この感覚は、実際に物件を買ってみて強く感じました。
株式の評価額と、不動産賃貸業の現預金は別物です。
どれだけ株式資産があっても、不動産の通帳に現金がなければ、修繕費や空室対策費用の支払いには困ります。
もちろん、本当に困れば株を売るという選択肢もあります。
でも、それを前提にしてしまうと、不動産賃貸業単体の力がつきません。
だからこそ、最初の4年間が大事だと思っていました。
築古物件の減価償却を活用できる期間に、税引き後のキャッシュをできるだけ残す。
そのキャッシュを、空室対策や修繕、次の2棟目取得に向けた準備資金として積み上げていく。
株式を取り崩して補うのではなく、不動産賃貸業の中で現預金を厚くしていく。
これが、自分の中での大きな方針でした。
この方針は融資担当者さんにも話していた
この考えは、融資を実行していただく前から、担当者さんにも話していました。
購入時の諸経費がかかること。
購入直後は空室対策の支出もあること。
築古物件のため、減価償却を取れる期間は会計上赤字になりやすいこと。
そして、その赤字は単なる赤字ではなく、手元のキャッシュを残して、不動産賃貸業の現預金を積み上げるための一面もあること。
その資金を、1棟目の安定運営や、次の2棟目に向けた準備に回していきたいこと。
こうした方針は、事前に担当者さんへ伝えていました。
私が考えていたのは、単に「赤字にして税金を減らしたい」ということではありません。
1棟目を購入して終わりではなく、次の2棟目の取得にも進みたい。
そのためには、不動産賃貸業の中に現預金を積み上げる必要があります。
購入直後の不動産用通帳には余裕がありません。
空室対策や修繕に資金が必要です。
それでも株式資産はできるだけ取り崩したくない。
むしろ株式資産は株式資産として、配当を生み続ける土台として残しておきたい。
だからこそ、減価償却を活用できる期間に、税引き後のキャッシュをできるだけ残し、不動産賃貸業の体力をつけていく必要があると考えていました。
株式投資では、配当を再投資して資産を増やしてきました。
不動産でも、手元に残るキャッシュを次の投資に再投資して物件取得につなげたい。
そのためには、ただ家賃が入るだけでなく、現預金をどう積み上げていくかが大切になります。
この方針を、融資担当者さんにも伝えていました。
つまり、初年度の赤字そのものは完全な想定外ではありません。
当初からある程度イメージしていた流れでした。
それでも、赤字の決算書を持参する時は緊張した
ただ、想定していたことと、実際に赤字の決算書を持って銀行へ報告に行くことは、やはり別でした。
頭では分かっています。
事前にも説明しています。
自分なりの戦略として考えていました。
それでも、決算書に赤字の数字が出ている。
その書類を持って、融資をしていただいた金融機関へ行く。
これはやはり緊張しました。
「本当にこの説明で伝わるだろうか」
「赤字という数字だけで悪く見られないだろうか」
「次の2棟目の話をしても大丈夫だろうか」
そんな気持ちもありました。
特に、1棟目を購入して初めての決算です。
金融機関から見れば、
「この人はちゃんと運営できているのか」
「返済に問題はないのか」
「次も支援できる相手なのか」
そう見られる可能性があります。
だからこそ、単に決算書を持って行くだけでは足りないと思いました。
赤字でした。
以上です。
これでは、事業の状況は伝わりません。
大切なのは、赤字の理由を自分の言葉で説明すること。
購入後に何をしたのか。
なぜ支出が増えたのか。
今後の家賃収入はどう見込めるのか。
返済に問題はないのか。
そして、不動産賃貸業単体で現預金を積み上げていくために、今後どう考えているのか。
そうした部分を、きちんと伝える必要があると思いました。
決算書だけではなく、満室後の送金明細も持参した
銀行へ報告に行く時、私は決算書だけを持っていったわけではありません。
満室となった後の送金明細も持参しました。
これが、自分の中ではかなり大事でした。
初年度の決算書だけを見ると、赤字です。
しかし、その決算は購入直後の短い期間を含んだものです。
空室対策の支出もありました。
減価償却の影響もあります。
一方で、決算後の4月時点では満室となっていました。
満室時の家賃収入が分かる資料を見てもらうことで、今後の運営状況を説明しやすくなります。
過去の数字だけではなく、現在の状況も見てもらう。
赤字という結果だけではなく、その後の改善も見てもらう。
この意識はとても大切だと感じました。
不動産賃貸業では、決算書の数字も大事です。
でも、それだけではありません。
空室が埋まったのか。
入金はどうなっているのか。
返済後の資金繰りはどうか。
今後も運営を続けられる見込みがあるのか。
不動産用の現預金を積み上げていける見込みがあるのか。
そうした流れを合わせて説明する必要があります。
初年度の決算書だけを見せるのではなく、満室後の送金明細も持参したことで、少しは前向きな説明ができたのではないかと思います。
赤字を言い訳ではなく、事業計画として説明する
銀行さんへ報告するうえで意識したのは、赤字を言い訳にしないことでした。
もちろん、赤字であることを隠すつもりはありません。
むしろ、正直に伝えるしかありません。
初年度は赤字でした。
その理由は、購入直後の空室対策費用や、減価償却の影響が大きかったこと。
そして、決算後には満室となり、家賃収入は改善していること。
さらに、今後数年間で不動産賃貸業の現預金を積み上げていきたいこと。
この流れを説明しました。
ここで大切なのは、言い訳ではなく説明です。
赤字だったけれど仕方ない。
これでは弱いです。
赤字の理由は何か。
その赤字は一時的なものなのか。
今後の収入改善は見込めるのか。
返済に問題はないのか。
手元資金をどう積み上げていくのか。
そこを説明する。
金融機関に対しては、数字を隠すよりも、きちんと中身を伝える方が大切だと感じました。
大家業は、物件を持っているだけではありません。
運営状況を説明できること。
数字の意味を理解していること。
金融機関ときちんとコミュニケーションを取ること。
これも、大家としての仕事なのだと思いました。
信金さんの反応
報告の場では、初年度が赤字であることを伝えました。
そのうえで、購入後に空室対策を行ったこと。
満室になったこと。
満室後の家賃入金が増えていること。
今後の返済や事業計画に大きな問題はないと考えていること。
そして、不動産賃貸業単体で現預金を積み上げ、次の2棟目にもつなげていきたいこと。
そうした内容を説明しました。
すると、信金さんからは、赤字という結果だけではなく、購入後の取り組みも見ていただけたように感じました。
これは本当にありがたかったです。
もちろん、金融機関の評価は簡単なものではないと思います。
決算書も見ます。
資産背景も見ます。
返済状況も見ます。
物件の内容も見ます。
本人の姿勢も見られていると思います。
だからこそ、報告に行って、現状を自分の言葉で説明することには意味があると感じました。
ただ決算書を出すだけではなく、
「購入後にこう動きました」
「現在はこうなっています」
「今後はこう考えています」
と伝える。
その積み重ねが、金融機関との関係づくりにつながるのだと思います。
数字を説明できることが信用につながる
今回の銀行報告で感じたのは、数字を説明できることが信用につながるということです。
不動産投資では、物件を買う前の融資相談も大事です。
でも、買った後の報告も同じくらい大事だと思いました。
融資を受けた後、物件はどうなっているのか。
空室は埋まったのか。
家賃は入っているのか。
返済は問題なくできているのか。
今後も運営できる見込みはあるのか。
不動産賃貸業の通帳に、現預金を積み上げていけるのか。
金融機関からすれば、当然気になる部分だと思います。
そこで、大家側が何も説明できなければ不安になります。
逆に、赤字だったとしても、その理由や改善状況を説明できれば、見え方は変わる可能性があります。
もちろん、数字が悪くても説明すれば何でも評価されるという話ではありません。
でも、数字の中身を理解し、事業として説明しようとする姿勢は大切だと感じました。
特に私は、今後2棟目も目指したいと考えています。
そのためには、1棟目の運営実績をきちんと積み上げる必要があります。
決算書を作る。
数字を見る。
銀行へ報告する。
質問に答えられるようにする。
そして、次に向けてどのように資金を積み上げていくのかを説明できるようにする。
これらはすべて、次につながる準備なのだと思いました。
2棟目に向けて、現預金を積み上げる
1棟目を購入して、強く感じたことがあります。
不動産投資では、現預金が本当に大事です。
物件を買えたとしても、その後にお金は必要です。
空室対策。
修繕。
設備交換。
税金。
保険。
突発的な支出。
家賃収入が入るとはいえ、支出も次々に出てきます。
特に築古物件では、想定外の修繕が出る可能性もあります。
だからこそ、不動産賃貸業の通帳に現預金を積み上げることが重要になります。
私の場合、株式資産を取り崩せば、一時的に不動産の資金繰りを補うことはできるかもしれません。
でも、それはできるだけ避けたい。
株式資産は、配当を生み続ける大切な土台です。
そこを崩すのではなく、不動産賃貸業は不動産賃貸業として、自分で現預金を積み上げていく。
そのために、最初の4年間は特に大切だと考えていました。
減価償却を活用できる期間に、税引き後のキャッシュをできるだけ残す。
満室を維持する。
無駄な支出を抑える。
必要な修繕にはきちんと対応する。
そして、少しずつ不動産用通帳の現預金を厚くしていく。
これができなければ、2棟目に進むのは難しいと思っています。
逆に、1棟目の運営を安定させ、不動産賃貸業単体で現預金を積み上げられれば、次の物件に進むための土台になります。
2棟目を買いたい。
その気持ちはあります。
でも、気持ちだけでは買えません。
金融機関に説明できる実績。
返済に問題がないこと。
不動産用通帳に積み上がった現預金。
そして、1棟目をきちんと運営しているという信用。
これらが必要になります。
今回の銀行報告は、その第一歩だったのだと思います。
感謝の気持ちも伝えたかった
今回の報告では、単に数字を説明するだけではなく、感謝の気持ちも伝えたいと思っていました。
1棟目アパートを購入できたのは、信金さんの支援があったからです。
地銀では難しかった。
第二地銀では条件面で悩んだ。
その中で、信金さんが親身に見てくれました。
物件だけでなく、私自身の資産背景や、これまでの投資の積み上げ、不動産賃貸業への姿勢も含めて見ていただけたように感じています。
だからこそ、購入後の報告はきちんとしたかった。
「融資を受けられて終わり」ではなく、買った後にどうなったのかを報告する。
応援していただいたことへの感謝を伝える。
これは、自分の中では大切にしたい部分でした。
手土産を持参したのも、そうした気持ちからです。
大きなことではありません。
でも、融資していただいたことへの感謝。
そして、今後も長くお付き合いしていきたいという気持ち。
そうしたものを、自分なりに伝えたかったのだと思います。
2棟目への話も出た
報告の中では、2棟目についても少し話をしました。
ありがたいことに、前向きな言葉もいただきました。
これは本当に嬉しかったです。
もちろん、だからといってすぐに勢いで買うわけにはいきません。
金利も上がっています。
物件価格も簡単ではありません。
空室リスクもあります。
修繕リスクもあります。
1棟目で学んだように、不動産は買ってからが本番です。
だからこそ、2棟目はより慎重に見ていく必要があります。
それでも、1棟目の決算を報告し、満室後の状況も伝えたうえで、次につながる話ができたことは、自分にとって大きな前進でした。
第1話で書いたように、私はかつて400万円程度の区分マンションすら買えませんでした。
それが、1棟目アパートを購入し、初年度の決算を終え、銀行へ報告し、2棟目の話をするところまで来ました。
一気に進んだわけではありません。
何度も迷いました。
資金繰りも苦しかったです。
確定申告にも苦戦しました。
それでも、少しずつ前には進んでいる。
そう感じられた報告でもありました。
第10話で伝えたいこと
第10話で伝えたいことは、赤字決算でも、その中身を説明することが大切だということです。
初年度は赤字でした。
でも、その赤字はある程度想定内でした。
購入時の諸経費。
購入直後の空室対策費用。
築古物件ならではの減価償却。
そして、決算後には満室となっていたこと。
数字だけを見れば赤字です。
でも、その数字の背景を説明することで、事業の見え方は変わります。
そして私の場合、もう一つ大きな考えがありました。
株式資産を取り崩したくない。
むしろ株式資産は、さらに強固にしていきたい。
そのために、不動産賃貸業単体で現預金を積み上げる必要がある。
最初の4年間で減価償却を活用しながら、税引き後のキャッシュをできるだけ残し、不動産用通帳を厚くしていく必要がある。
これが、自分の中での大きな方針でした。
赤字を正当化するつもりはありません。
赤字は赤字です。
ただ、その赤字がどういう赤字なのか。
今後の収入はどうなるのか。
返済に問題はないのか。
次に向けてどのように現預金を積み上げていくのか。
それを自分の言葉で説明することが、大家業には必要なのだと感じました。
次回へ
今回は、初年度赤字の決算を銀行へ報告した話を書きました。
赤字は想定内でした。
でも、実際に赤字の決算書を持って銀行へ行く時は、不安もありましたし、緊張もありました。
それでも、赤字の中身を整理し、満室後の状況も含めて説明することで、前向きな報告につなげることができました。
次回は、この銀行報告の後に始めた、2棟目に向けた準備について書いていきたいと思います。
1棟目を買えたことで、ようやくスタートラインに立てた気がしました。
でも、2棟目に進むには、さらに慎重な物件選びと資金計画が必要です。
土地値。
築年数。
利回り。
融資。
金利上昇。
1棟目で学んだことを踏まえて、次の物件をどう探していくのか。
そのあたりを書いていきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
※本記事は私個人の体験談であり、特定の投資判断や金融機関の利用をすすめるものではありません。また、金融機関の判断や融資条件は、個別の状況により異なります。



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