人は誰でも、他人には言えない悩みや苦しみを抱えているのかもしれません。
町田そのこさんの『52ヘルツのクジラたち』を読んで、そんなことを考えさせられました。
この作品は、孤独や心の傷を抱えた人たちが、少しずつ人とのつながりを取り戻していく物語です。
決して明るい話ばかりではありませんが、読み終えた後には不思議な温かさが残りました。
『52ヘルツのクジラたち』とは
52ヘルツという、ほかのクジラとは異なる周波数で鳴くクジラがいるといわれています。その声は仲間に届かず、世界で一番孤独なクジラとも呼ばれています。
本作では、このクジラの存在が、誰にも理解されず、助けを求めることさえできない人たちの姿と重なります。
主人公の三島貴瑚は、過去に深い傷を負い、都会から離れた海辺の町で暮らし始めます。そこで出会ったのは、言葉を発することのできない少年でした。
それぞれに苦しみを抱えた二人が出会い、少しずつ心を通わせていきます。
心に残ったのは、人とのつながり
この作品を読んで特に印象に残ったのは、人は誰かとの出会いによって救われることがある、ということです。
苦しいときほど、自分の気持ちをうまく伝えられないものです。周囲からは何も問題がないように見えても、本人は必死に助けを求めているのかもしれません。
私自身、これまでの人生で多くの人に支えられてきました。仕事でも私生活でも、思うようにいかないことは数え切れないほどありましたが、そのたびに誰かの言葉や行動に救われたことがあります。
だからこそ、今度は自分も、誰かの小さな変化に気づける人でありたいと思いました。
忙しい毎日の中で忘れたくないこと
仕事や家庭のことで慌ただしく過ごしていると、どうしても自分のことで精一杯になってしまいます。
便利な時代になり、SNSやメールなどで簡単につながれる一方、相手の本当の気持ちまでは見えにくくなっている気もします。
もちろん、誰もが他人の悩みを解決できるわけではありません。それでも、話を聞いたり、少し気にかけたりすることならできるはずです。
この作品は、そんな当たり前だけれど忘れがちなことを思い出させてくれました。
読後の感想・評価
私の評価:★★★★★(5.0/5.0)
決して軽い内容ではなく、読んでいて胸が苦しくなる場面もあります。それでも最後まで読み進めたくなる、人間の弱さと優しさが描かれた作品でした。
人間関係に悩んでいる方や、日々の忙しさの中で少し立ち止まりたい方にもおすすめしたい一冊です。
誰かの声が届かないのは、その人が声を上げていないからとは限りません。
『52ヘルツのクジラたち』を読んで、そんな声にも耳を傾けられる心の余裕を持ちたいと思いました。り豊かにするための大切なヒントを与えてくれた、心に残る一冊です。


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