リョータの投資カルテ VOL.6|JPMC(3276)MBOで上場廃止へ。8年保有した高配当株との別れ

資産形成

ある日、JPMCから一通の封筒が届きました。

株を長く保有していると、会社から封筒が届くこと自体は珍しくありません。

ただ、今回はいつもと少し違いました。

封筒には赤い文字で、

「株式会社JPMC 公開買付関係書類 在中」

と書かれています。

もちろんMBOのニュースはすでに知っていました。

それでも実際に自分の手元へこの封筒が届くと、

「本当にJPMCともお別れなんだな」

という実感が湧いてきます。

JPMCは、私が商号変更前、日本管理センター時代の2018年から約8年間保有してきた銘柄です。

株価が低迷していた時期には追加購入。

その後は配当を受け取りながらずっと保有し、最近では5%近い配当利回りを見ながら、

「まだまだ持っていていい会社だな」

と思っていました。

むしろNISAでさらに買い増そうかと考えていたくらいです。

そんなJPMCが、まさかMBOで株式市場から姿を消すとは。

利益が出るのだから、もちろんうれしい。

でも、それ以上に、

「またお気に入りの高配当株が一つなくなってしまうのか……」

という気持ちもあります。

今回は「リョータの投資カルテ VOL.6」。

約8年間保有したJPMCへの投資を、最後まで記録しておこうと思います。


今回の投資カルテ

銘柄:JPMC(3276)

投資評価:★★★★★ 5.0/5.0

私にとって、かなり満足度の高い投資になりました。

特別な売買テクニックを使ったわけではありません。

安いと思ったときに買い、さらに安くなったときに買い増し。

その後は配当を受け取りながら待つ。

いつもの、

「バーゲンハンター」

そして、

「優良割安株欲しい病」

をそのまま実践したような銘柄でした。


取得情報|最初に買ったのは2018年

JPMCを最初に購入したのは2018年5月25日。

100株を1,457円で購入しました。

その後、株価は順調に上がったわけではありません。

むしろ長い間、

「会社は悪くないと思うんだけどな……」

と思いながら株価を眺める期間が続きました。

2018年には新株予約権の発行が発表され、希薄化への懸念から株価が大きく下落した時期もありました。私自身、このあたりから信用が低下し、株価が長く低迷した印象を持っています。

それでも私は売りませんでした。

そして2023年11月27日。

株価は1,103円。

ここまで来ると私の感覚では、

「いや、さすがに安すぎるだろう」

でした。

そこで100株を追加購入。

いわゆるナンピンです。

結果、

2018年 100株@1,457円
2023年 100株@1,103円

合計200株。

平均取得単価は約1,280円となりました。

そして今回の公開買付価格は、

2,250円。

平均取得価格との差は1株約970円。

200株なら、単純な株価差だけでも約19万4,000円になります。

もちろん、これまで受け取ってきた配当は別です。


なぜJPMCを持ち続けたのか

私がJPMCを気に入っていた理由は、単に配当利回りが高かったからではありません。

JPMCは賃貸住宅の一括借上げ・サブリースを全国展開しており、全国の建設会社、リフォーム会社、賃貸管理会社などとのネットワークを活用する独特の事業モデルを持っています。会社自身も「スーパーサブリース」と全国のパートナー網を強みとして挙げています。

同じ「不動産業」に分類されていても、土地を大量に仕入れてマンションを建設するような会社とは性格が違います。

大きな設備投資や借入を膨らませながら成長する会社より、

既存の賃貸住宅を借り上げ、管理し、ストックを積み上げていく。

私はこのビジネスモデルに安定感を感じていました。

そしてもう一つ。

武藤社長です。

決算説明会などを見ても営業力、発信力、話す力が非常に強い。

数年前ですが直接お会いする機会もあり、私はかなり印象に残っていました。

今回のMBO成立後も武藤英明社長は経営に関与し続ける予定とされています。

だからこそ、

「武藤社長はまだまだ若いし、今後も安定した経営を継続可能なはず。長く持っていて問題はない。」

と考えていました。


高配当+連続増配。だから売る理由がなかった

そして何より魅力だったのが配当です。

JPMCは2020年12月期以降、増配を続けていました。

MBO発表前には2026年12月期の年間配当を64円と予想しており、このまま実施されれば7期連続増配となる予定でした。

株価1,300円台では予想配当利回りが4.8%前後。

ほぼ5%です。

業績も大きく崩れていない。財務も良い。

配当は増えている。

ビジネスモデルも気に入っている。

株価はそれほど高くない。

そうなると私としては、

売る理由がほとんどありません。

むしろ、

「NISAでも買っておこうかな」

と考えていました。

ところが突然、その前提そのものがなくなりました。

MBOに伴い、2026年12月期に予定されていた中間32円、期末32円、年間64円の配当予想は0円へ修正されています。

高配当株として長く持つつもりだった私にとっては、ここが一番残念なところです。


突然発表されたMBO。TOB価格は2,250円

2026年8月3日。

JPMCは、Amsterdam1及びAmsterdam2による公開買付けに賛同し、株主に応募を推奨することを発表しました。

サンライズキャピタルと組んだMBOで、最終的にはJPMC株を非公開化する計画です。

公開買付価格は、

1株2,250円

買付期間は、

2026年8月4日~9月15日

買付予定数は12,303,225株。

下限は6,707,800株。

成立後は所定の手続きを経て、JPMC株は上場廃止になる予定です。

TOB公表前の7月31日終値は1,822円。

2,250円はそこから23.49%のプレミアムを付けた価格です。

普通に考えれば、

「よかったじゃないか」

という話です。

実際、私も利益が出るのですから嫌な気はしない。

ただ、8年間保有してきた株主としては、それだけではありません。

「2,250円で売却できてラッキー!」

より、

「5%近い配当をもらいながら、もう少し持っていたかったな」

という気持ちのほうが強かったりします。


届いた資料を読んで驚いた。最初の提示額は1,850円だった

今回、せっかく株主として公開買付関係書類が届いたので、中身を読んでみました。

そこで一番面白かったのが、

2,250円は最初から決まっていた価格ではなかった

ということです。

最初の提案は、

1株1,850円。

しかしJPMC側の特別委員会は、本源的価値や少数株主の利益を十分反映しているとは評価できないとして再検討を要求。

そこから価格交渉が繰り返されます。

1,850円

2,000円

2,120円

2,200円

2,250円

最終的には2,250円まで引き上げられました。

最初の提示額との差は、

1株400円。

私の200株なら、

8万円の差です。

これはかなり大きい。

もちろん私のような個人株主が、

「1,850円じゃ安いから、もっと出してください」

なんて交渉できるわけではありません。

今回資料を読んで、

「特別委員会って、本当にこうやって何度も価格を突き返すんだ」

と実感しました。

株を持っていなければ、ここまで資料を読むこともなかったと思います。

これも一つの投資経験になりました。


実はJPMCだけではない。私の保有株が次々と上場廃止に

そして今回のJPMCで、また思ってしまいました。

「なぜ私の保有株は、こんなに次々買われていくんだ?」

実はJPMCが初めてではありません。

ここ最近だけでも、私が保有していた銘柄では上場廃止が続いています。

アスコット(3264)

2025年、大東建託が1株260円でTOBを実施し、完全子会社化。

アスコットは2025年4月25日に上場廃止となりました。

シンニッタン(6319)

スパークス・グループ系のARTS-3によるTOB。

公開買付価格は1株403円でした。

TOB成立後、2025年5月26日に上場廃止となりました。

パラマウントベッドホールディングス(7817)

こちらはMBO。

公開買付価格は1株3,530円。

TOB成立後の手続きを経て、2026年2月5日に上場廃止となりました。

セントケア・ホールディング(2374)

こちらもMBO。

公開買付価格は1株1,220円。

その後、2026年3月13日に上場廃止となっています。

そして、

JPMC(3276)

公開買付価格2,250円でMBO。

成立すれば、また一つ私の保有株が市場から姿を消すことになります。


なぜ私の持っている株はTOB・MBOされるのか?

ここまで続くと、さすがに考えます。

「私の銘柄選びに何か共通点があるのでは?」

と。

もちろん私は、

「この会社はTOBされるぞ!」

と思って買っているわけではありません。

そんな能力があったら苦労しません(笑)。

私が普段探しているのは、

業績が比較的安定している。
配当が高い。
財務に無理がない。
事業そのものには価値がある。
それなのに株価が安い。

そんな会社です。

ついでに、パラマウントベッドとセントケアは高配当に加えて、株主優待でクオカードももらっていました(笑)

つまり、

「いい会社なのに、市場ではそれほど評価されていない会社」

を探している。

これが私のバーゲンハンター投資です。

アスコットも、シンニッタンも、パラマウントベッドHDも、セントケアHDも、今回のJPMCも事情はそれぞれ違います。

したがって、

「私が割安株を買っているからTOBされる」

と単純に結論づけることはできません。

そもそも2025年は、日本全体で上場廃止を前提としたTOBが80社、MBOが32社、合計112社に達しており、非公開化そのものが活発になっていました。

それでも自分が、

割安・高配当・安定事業

を好んで探していることと、他社やファンドから見て、

「市場価格以上の価値がある」

と判断される会社に結果的に出会いやすいことは、多少関係しているのかもしれません。

これはあくまで私自身の投資結果を見て感じていることです。

でも、悪い気はしません。


ただし、一つ大きな問題がある

TOBやMBOになれば、多くの場合、市場価格より高い価格で買い取られます。

投資家としてはありがたい。

でも私には一つ困ることがあります。

代わりの株を探さなければならない。

これです。

私は売買を頻繁に繰り返すタイプではありません。

気に入った会社を安く買って、配当を受け取りながら長く持つほうが好きです。

そのため、

「ようやくいい株を見つけた」

と思って持っている会社が市場から消えてしまうと、

また最初から次の会社を探さなければならない。

パラマウントベッドHD、アスコット、シンニッタン、セントケアHD。

そして今回のJPMC。

利益が出るのはうれしいのですが、

「いや、別に売りたかったわけではないんだけど……」

というのが本音だったりします。


今回もTOBには応募せず、市場で売却する予定

では、現在保有しているJPMC200株をどうするのか。

私は今回も、

公開買付けには応募せず、市場で売却する予定です。

これまで保有株がTOBになったときも、私は最終的な公開買付けへの応募はせず、その前に市場で売却してきました。

理由は非常に単純です。

面倒そうだから(笑)。

証券会社を移管したり、公開買付けの手続きをしたりするより、普段使っている証券口座から普通に市場で売却するほうが私には分かりやすい。

今回もMBO発表後すぐには売らず、少し様子を見ました。

公開買付価格が1,850円から2,250円まで何度も引き上げられてきたことを知れば、

「もしかしたら、もう一段あるか?」

とも考えてしまいます。

ただ、これまでの交渉経緯を見る限り、私は現時点では、

ここからさらに引き上げられる可能性はそれほど高くないのではないか

と考えています。

もちろん、これは私個人の判断です。

8月14日のJPMC終値は2,245円。

公開買付価格2,250円との差はわずか5円まで縮まっています。

200株なら差額は1,000円。

その程度の差であれば、私はTOB応募の手間より、市場で売却するほうを選ぶつもりです。


でも、できれば今すぐ売りたくない

とはいえ、

「では月曜日にすぐ売るのか?」

というと、少し違います。

実は私が今考えている理想の展開があります。

それは、

優良株全般が下落した日にJPMCを売ること。

です。

今回のMBOが順調に進むという市場の期待が維持されている間は、JPMCの株価は2,250円付近にサヤ寄せし、通常の株より市場全体の値動きの影響を受けにくくなります。

だから例えば市場全体が大きく下がり、

「あの欲しかった優良株が安くなっている!」

という日が来たら、

JPMCを2,250円付近で売却。

その資金で値下がりした優良株を購入。

これができれば一番きれいです。

要するに、

JPMCという“ほぼ値段の決まった株”から、安くなった次の優良株へ資金を移す。

バーゲンハンターとしては理想的な乗り換えです。

ただしTOBが必ず成立する保証があるわけではなく、何らかの事情で成立期待が崩れれば、JPMCの市場価格が大きく動く可能性もあります。

そこは忘れないようにしています。


最大の問題。「次に何を買う?」

実は今回、JPMCをいつ売るか以上に悩んでいることがあります。

代替銘柄が決まりません。

これです。

年間配当64円予定だったJPMC。

5%近い配当利回り。

連続増配。

ストック型の事業。

比較的安定した業績。

そして、まだ経営者も若い。

私としては、

かなり理想に近い高配当株でした。

だから簡単に、

「じゃあこれを買えばいい」

という会社がまだ見つかりません。

せっかく2,250円で売却できても、そのお金で割高な株を買ったら意味がない。

現金になると、

「何か買わなければ」

と思いたくなります。

でも、そこは我慢です。

私の「優良割安株欲しい病」はかなり重症ですが(笑)、

安くない株まで無理に買う必要はありません。

欲しい株が安くなるまで待つ。

これも立派な投資だと思っています。


8年間持ち続けたからこそ味わえた今回のMBO

2018年、1,457円で100株購入。

株価が下がっても保有。

2023年には1,103円でさらに100株購入。

配当を受け取りながら待つ。

連続増配を喜び、

5%近い利回りを見ながら、

「NISAでも買おうかな」

と考える。

そこから株価が急に上がり始め、

最後に届いたのが、

「公開買付関係書類 在中」

の封筒でした。

購入した2018年に、

「8年後、この会社はMBOで2,250円になる」

なんて当然分かりません。

株式投資は、本当に何が起きるか分からないものです。

でも今回改めて感じたのは、

良いと思った会社を、安いと思える価格で買う。

そして会社そのものに問題がないと思えば、

配当を受け取りながら待つ。

結局、私にできることはこれなのだと思います。

結果としてMBOになっただけで、MBOを狙って買ったわけではありません。

ただ、アスコット、シンニッタン、パラマウントベッドHD、セントケアHD、そしてJPMCと続くと、

「市場から評価されていない会社の価値を探す」

という自分の投資スタイルも、少しは間違っていなかったのかなと思わせてくれます。

それでも最後は、やっぱり少し寂しい。

利益は出る。
でも、まだ持っていたかった。

これが約8年間保有したJPMCに対する、今の率直な気持ちです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

※本記事は筆者自身の投資経験と考えを記録したものであり、特定銘柄の購入・売却やTOBへの応募・不応募を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました