最近読んだ本の中で、かなり不思議な一冊がありました。
タイトルは、しんめいPさんの著書『自分とか、ないから。 教養としての東洋哲学』です。
タイトルからして少し変わっていますが、読み終わった私の一番の感想は、「これまで全力で走ってきた自分とは、真逆の視点だな」というものでした。
私はどちらかというと、やりたいことが見つかると前へ進みたくなるタイプです。仕事も株式投資も、不動産投資も、最近始めたWEBでの発信も同じ。「やってみたい」と思えばまず動き、うまくいかなければ考え、そしてまた行動する。
自分でもかなり前のめりな、ときには攻撃的なくらいの生き方をしてきたと思います。
だからこそ、「自分なんて、そもそもない」というところから始まる本書の考え方は、私にとって非常に新鮮でした。
哲学の本なのに、驚くほど読みやすい
正直に言うと、「東洋哲学」と聞くと少し身構えてしまいます。難しい言葉がたくさん出てきて、何度も同じページを読み直さなければ理解できない。そんなイメージがありました。
ところが、『自分とか、ないから。』は全然違いました。
扱っているのは、ブッダの「無我」など、本来かなり難しいテーマです。それなのに文章はとてもくだけていて、誰かの面白い話を聞いているような感覚で読み進められます。
「哲学の勉強をしている」というより、面白い話を読んでいたら、いつの間にか哲学について考えていた。
私にとっては、そんな本でした。
普段あまり哲学書を読まない方でも、比較的入りやすい一冊だと思います。
恵まれた王子が、すべてを捨てて修行へ
特に印象に残ったのが、ブッダの話です。
ブッダというと、「悟りを開いたすごい人」という程度のイメージしか持っていませんでした。
ところが本を読むと、もともとは恵まれた環境に生まれた王子。何不自由ない生活を送っていたにもかかわらず、その中に答えを見つけられず、恵まれた世界を離れて自分探しのような旅に出ます。
そして行き着いた先では、断食を含む厳しい修行を続け、自分の体を極限まで追い込んでいきます。
この部分を読みながら、「そこまでやるのか……」と思いました。
しかし、さらに印象に残ったのはその先でした。
そこまで自分を追い込んでも、求めていた答えにはたどり着けない。最終的には、苦行を続けること自体から方向を変えていくのです。
私はここで少し考えさせられました。
頑張ることと、自分を追い込み続けることは、必ずしも同じではありません。
努力すれば正解にたどり着ける。苦しい思いをした分だけ報われる。限界まで頑張れば、きっと答えが見つかる。
これまで、どこかでそんなふうに考えていた自分がいたように思います。
何かにつまずくと、「もっと頑張らなければ」と考えがちな私にとって、非常に新鮮な視点でした。
「自分の体」だって、自分だけでできていない
もう一つ、強く印象に残った考え方があります。
それが、「自分の体は、自分以外のものでできている」という話です。
考えてみれば当たり前のことかもしれません。毎日食べているもの、飲んでいる水、吸っている空気。もともとは、すべて自分の外側にあったものです。
さらに本書では、人が同じ空間で呼吸していることを例に、自分と他人を完全に切り離して考えることの不思議さにも話が広がっていきます。
例えば、電車に乗れば、そこにはたくさんの人がいます。誰かが吐いた空気を別の誰かが吸い、それを自分の体の中にも取り込んでいる。
普段はそんなことを意識する機会などありません。
しかし、そう考えると、「ここからここまでが完全に自分」という境界線も、思っていたほど絶対的なものではないのかもしれません。
もちろん、この話を聞いてすぐに東洋哲学をすべて理解できたわけではありません。それでも、当たり前だと思っていた自分自身の存在を、まったく違う角度から考えるきっかけになりました。
私はこの話が、妙に頭に残っています。
私はずっと「自分が何とかする」と考えてきた
なぜ、この考え方がこれほど印象に残ったのか。
少し振り返ってみると、自分のこれまでの生き方と関係しているように思います。
私はどちらかというと、「自分で何とかする」と考えて生きてきました。
自分で勉強し、自分で調べ、自分で投資判断をして行動する。うまくいかなければ、どうすれば改善できるのかを考え、さらに努力する。
もちろん、この考え方が悪いとは思っていません。むしろ、そうした姿勢だったからこそ、挑戦できたこともたくさんあります。
ただ、「自分が、自分が」と力を入れすぎれば、当然疲れます。
思うような結果が出ないと、「自分の努力が足りないのではないか」「もっと何かしなければ」と考えてしまうこともあります。
そんな自分に対して、「そこまで自分にこだわらなくてもいいのでは?」と、まったく別の方向から問いかけてきたのが本書でした。
今まで自分が大切にしてきた考え方とは違うからこそ、余計に心に残ったのだと思います。
「もっと楽に考えてもいい」という新しい選択肢
私は、この本を「頑張らなくていい本」だとは思いませんでした。
努力に意味がないと言っているわけでもないと思います。
ただ、読みながら「もう少し楽に考えてもいいのかもしれない」と感じました。
これは、私にとって結構大きなことでした。
これまでは何か問題が起きると、どうすれば突破できるかを考えることが多かったように思います。うまくいかなければ方法を変え、それでも駄目ならさらに努力する。
しかし、突破しようとする前に、一呼吸置いてみるという選択肢もあります。
自分だけで抱え込まなくてもいい。今すぐ答えを出さなくてもいい。少し距離を置いてみてもいい。
そうすることで、それまで見えていなかったものが見えてくることもあるのかもしれません。
私にとっては、この考え方を知れただけでも、本書を読んだ意味があったと感じています。
それでも、私の「攻撃的なスタイル」は変えない
ここまで書くと、「では、これからはゆっくり生きるのか?」と思われるかもしれません。
たぶん、そうはなりません(笑)。
私はこれからも、やりたいと思ったことには全力で挑戦したいですし、全力で楽しみたいと思っています。
新しいことにも挑戦したい。面白そうなものがあれば首を突っ込みたいし、失敗しても、また考えて前へ進みたい。
そんな前のめりな生き方を否定する気はありません。むしろ私は、その生き方が好きです。
だから『自分とか、ないから。』を読んで、「明日から頑張るのをやめよう」とは思いませんでした。
ただ、どれだけ全力で走っていても、人生には必ず壁にぶつかるときがあります。
努力しても結果が出ない。考えても答えが見つからない。前へ進みたいのに、どうしても進めない。
そんな場面は、これからもきっとあると思います。
今までの私なら、そんなときは「もっと頑張ろう」という引き出しを開けていたかもしれません。
でも、この本を読んだことで、もう一つ引き出しが増えました。
「一呼吸置いてみよう」という引き出しです。
自分ですべてを何とかしようとせず、少し楽に考えてみる。それでも答えが見つからなければ、一度立ち止まってみる。
この考え方を心の片隅に置いておきたいと思っています。
全力で走るために、ときどき一呼吸置く
考えてみれば、ずっと全力疾走できる人なんていません。
走って、疲れたら少し休み、また走る。それでいいのかもしれません。
私の場合、本書を読んだからといって、生き方が180度変わったわけではありません。これからも、やりたいことには全力で取り組んでいくと思います。
ただ、壁にぶつかったときや、何をやってもうまくいかないとき、自分を必要以上に追い込みそうになったときには、この本で出会った考え方を思い出したい。
「一呼吸置いて、もう少し楽に考えてみよう」
自分とは正反対の考え方だったからこそ、読む意味があったのかもしれません。
『自分とか、ないから。』はこんな方におすすめ
この本は、哲学を普段から勉強している人だけに向けたものではないと思います。
むしろ私のように、「哲学って難しそう」と感じている人の方が、意外と楽しめるかもしれません。
本格的な哲学書を読むとなると少し構えてしまいますが、本書はかなりくだけた文章で、笑いながら読めるところもあります。
それでいて、「自分とは何だろう」「なぜこんなに頑張っているのだろう」と考えさせられる内容もありました。
特に、仕事や家庭で責任を感じ、「自分が何とかしなければ」と頑張りすぎている方には、何か心に引っかかるものがあるのではないでしょうか。
ただし、具体的な仕事術や問題解決の方法を教えてくれる実用書ではありません。これまでとは違う考え方に触れ、自分自身を見つめ直すきっかけになる本だと思います。
哲学というより、自分とはまったく違う人生の見方を一つ教えてもらった。
私にとっては、そんな一冊でした。
『自分とか、ないから。』書籍情報
- 書名:『自分とか、ないから。 教養としての東洋哲学』
- 著者:しんめいP
- 監修:鎌田東二
- 出版社:サンクチュアリ出版
まとめ|生き方は変えない。でも、選択肢が一つ増えた
私はたぶん、明日からも変わりません。
やりたいことを見つけたら、また全力で走ると思います。
ただ、以前と少し違うのは、「走る」以外の選択肢も一つ持てたことです。
行き詰まったら、一呼吸置く。壁にぶつかったら、少し楽に考えてみる。それでも駄目なら、一度立ち止まってみる。
そして、また走りたくなったら走ればいい。
『自分とか、ないから。』は、私の生き方を大きく変えた本ではありません。
でも、いつか苦しくなったときに開ける、小さな引き出しを一つ増やしてくれた本です。
これからも挑戦を続けていきたいと思っている私にとって、その引き出しはきっと役に立つことでしょう。
そんな一冊として、心の片隅に刻んでおきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




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