本記事は、
「不動産投資の実践記録|買えなかった物件から始まった資産形成」
シリーズの第2話です。
前回の記事では、私が7〜8年前に買えなかった400万円程度の区分マンションについて書きました。
親しくしていた不動産売買の業者さんから、公開前の物件情報をいただいた話です。
物件は、2LDKの区分マンションの一室。
室内は原状回復前で、正直かなり汚れていました。
そのまま人に貸せる状態ではなく、購入後にはリフォームや補修が必要な物件でした。
ただ、価格は現況で400万円程度。
売主さん側にも早めに手放したい事情があったようで、相場よりかなり抑えられた価格だったと記憶しています。
今振り返れば、かなり安い物件だったと思います。
その物件は、私が決断できないうちに別の業者さんが購入し、その後100万円程度のリフォームをして600万円以上で売却したと聞きました。
結果だけ見れば、利益が出た可能性のある案件でした。
では、なぜ私はその物件を買えなかったのか。
今回は、不動産投資初心者だった当時の私が、何を怖がり、なぜ決断できなかったのかを整理していきます。
補修費用が読めなかった
まず大きかったのは、室内の状態です。
原状回復前で、室内はかなり汚れていました。
今なら、まずはリフォーム費用の概算を考えます。
壁紙はどこまで張り替える必要があるのか。
床はそのまま使えるのか。
水回りは交換が必要なのか。
設備はどこまで直せば貸せる状態になるのか。
そういった点を一つずつ確認すると思います。
しかし当時の私は、そこまで具体的に考えることができませんでした。
「かなり汚い」
「お金がかかりそう」
「いくら必要なのか分からない」
その不安だけが先に来てしまいました。
もしかしたら100万円程度で収まったのかもしれません。
しかし、もっと費用がかかる可能性もあります。
その幅が読めないことが、当時の私にはとても怖かったのです。
不動産投資では、購入価格だけでなく、購入後にかかる費用をどれだけ見込めるかが重要です。
物件価格が安くても、リフォーム費用が想定以上に膨らめば、投資としての魅力は大きく変わってしまいます。
当時の私は、その判断をする経験も知識も足りませんでした。
入居者が決まらなかった場合が怖かった
次に不安だったのが、賃貸に出した場合です。
リフォームをして室内をきれいにしたとしても、本当に入居者が決まるのか。
当時の私は、そこに自信がありませんでした。
不動産は、買ったら終わりではありません。
貸せなければ家賃収入は入りません。
しかし、区分マンションの場合、空室でも管理費や修繕積立金は毎月かかります。
固定資産税もあります。
つまり、収入がゼロでも支出は続きます。
この「毎月お金だけが出ていく状態」が、当時の私にはとても怖く感じました。
購入価格が安くても、空室期間が長引けば、手元資金は少しずつ減っていきます。
今思えば、想定家賃や周辺の賃貸需要を調べれば、ある程度は判断できたのかもしれません。
近隣の賃貸募集状況。
同じような間取りの家賃相場。
駅や生活施設との距離。
入居者層の需要。
こうした情報を集めれば、少なくとも漠然とした不安は少し減らせたと思います。
しかし当時の私は、そこまで調べ切る力がありませんでした。
ただ漠然と、
「入居者が決まらなかったらどうしよう」
という不安だけが大きくなっていました。
売却できるかどうかも分からなかった
賃貸が難しければ、売却するという選択肢もあります。
実際、その物件は業者さんが購入し、リフォーム後に600万円以上で売却されたと聞きました。
つまり、出口として「売る」という選択肢はあったのだと思います。
しかし当時の私には、それが見えていませんでした。
「本当に売れるのか」
「リフォームしても買い手がつかなかったらどうするのか」
「結局、安く買っても売れなければ意味がないのではないか」
そんな不安がありました。
不動産投資では、入口だけでなく出口が大切だとよく言われます。
いくらで買うのか。
いくらかけて直すのか。
いくらで貸せるのか。
いくらで売れるのか。
最悪の場合、いくらなら手放せるのか。
この出口の考え方が、当時の私には足りませんでした。
安く買えたとしても、売れなければ資金は固定されます。
貸せず、売れず、毎月の管理費や修繕積立金だけが出ていく状態になることを考えると、どうしても怖くなってしまいました。
今なら、売却相場や周辺の成約事例を確認し、最低売却ラインを考えると思います。
しかし当時は、そのような判断材料を集める前に、不安が勝ってしまいました。
貯金を減らしたくなかったもう一つ大きかったのが、手元資金への不安です。
400万円という価格は、不動産としてはかなり安い方だったと思います。
しかし、会社員として生活している中で、数百万円を一気に不動産へ使うことには強い抵抗がありました。
しかも、物件価格だけでは終わりません。
購入時の諸費用もあります。
リフォーム費用もあります。
保有中の管理費や修繕積立金もあります。
固定資産税もあります。
買ったあとに手元資金が少なくなったらどうするのか。
この不安もありました。
不動産投資に興味はある。
でも、貯金を大きく減らすのは怖い。
当時の私は、まさにその状態でした。
物件価格だけを見れば安い。
しかし、購入後の余力まで考えると、自信が持てませんでした。
不動産投資では、買えるかどうかだけでなく、買った後に耐えられるかどうかも大切です。
当時の私は、その余力に不安がありました。
融資を使うという発想がなかった
今振り返ると、当時の私は不動産投資に対する事前準備がまったく足りていませんでした。
特に大きかったのが、融資に対する知識です。
不動産を買うには、基本的に現金で買うしかない。
当時の私は、ほとんどそう思い込んでいました。
もちろん、400万円程度の区分マンションです。
物件価格だけを見れば、不動産としては大きすぎる金額ではなかったのかもしれません。
ただ、当時の私にとっては十分に大きなお金でした。
融資を使うとしても、金融機関に相談する手間があります。
融資手数料や諸費用もかかりそうです。
そもそも、こんな少額の区分マンションに融資をしてもらえるのかも分かりませんでした。
そして何より、自分が金融機関からお金を借りて不動産を買うというイメージが、まったくできていませんでした。
融資を使える可能性があるのか。
自己資金はいくら必要なのか。
どんな物件なら金融機関が見てくれるのか。
自分の属性や金融資産はどう評価されるのか。
そういったことを調べる前に、最初から「現金で買うか、買わないか」の二択で考えていました。
今思えば、これも大きな反省点です。
不動産投資では、物件を見る力だけでなく、資金調達の知識も必要です。
当時の私は、物件情報をもらう準備はできていても、その物件を買うための準備はできていませんでした。
株を売ってまで買う覚悟がなかった
そして、私にとって一番大きかったのは、ここだったかもしれません。
当時の私は、貯金がほとんどありませんでした。
資産の多くは高配当株に振り向けていました。
今でこそ、株式と不動産の両方を見ながら資産形成を考えるようになりましたが、当時の私はかなり株式に偏ったポートフォリオでした。
融資を使うという発想もなかったので、400万円の区分マンションを買うには、持っていた株式の一部を売却するしかないと思っていました。
でも、私はそれがどうしてもできませんでした。
配当を生んでくれる株を手放したくない。
せっかく積み上げてきた株式資産を崩したくない。
不動産を買うためとはいえ、株を売る決断ができない。
そんな気持ちが強くありました。
今思えば、これは物件そのもののリスクとは少し違います。
物件が怖かっただけではなく、自分の資産配分を変えることが怖かったのだと思います。
株式投資から不動産投資へ、一部の資金を移す。
言葉にすると簡単ですが、実際に自分のお金でやろうとすると、当時の私にはかなり大きな決断でした。
本当の問題は、リスクを数字で分解できなかったこと
振り返ると、当時の私はいろいろな不安を抱えていました。
補修費用が怖い。
入居者が決まらないのが怖い。
管理費や修繕積立金が垂れ流しになるのが怖い。
売却できないのが怖い。
貯金を減らすのが怖い。
融資を使う発想もなかった。
株を売るのも嫌だった。
不安はいくつもありました。
ただ、今思うと本当の問題は、不安そのものではありません。
その不安を、数字で分解できなかったことです。
リフォーム費用はいくらかかりそうなのか。
家賃はいくら取れそうなのか。
空室が半年続いたら、いくら持ち出しになるのか。
管理費や修繕積立金はいくらなのか。
固定資産税はいくらなのか。
最低いくらで売れそうなのか。
融資を使える可能性はあるのか。
自己資金はいくら必要なのか。
最悪の場合、どのくらい損をする可能性があるのか。
こうしたことを一つずつ数字にしていれば、違う判断ができたかもしれません。
買うにしても、買わないにしても、もっと納得できる判断ができたと思います。
しかし当時の私は、不安を不安のまま抱えていました。
だから動けなかったのです。
安い物件を見つけても、買える自分でなければ動けない
この経験から思うことがあります。
不動産投資では、安い物件情報を得ることは大切です。
しかし、それだけでは不十分です。
目の前にチャンスが来たときに、判断できる自分でなければ動けません。
安いかどうかを見る力。
リスクを分解する力。
最悪のケースを想定する力。
資金調達を考える力。
資金を出す覚悟。
そして、自分の資産全体をどう動かすかという判断。
当時の私には、それが足りませんでした。
物件情報をもらうことはできた。
でも、買える自分にはなっていなかった。
これが、私が400万円のマンションを買えなかった一番の理由だったのだと思います。
不動産投資は、物件情報だけで勝負が決まるわけではありません。
むしろ、その情報が来たときに、自分が判断できる状態になっているかどうかが大切です。
私の場合、情報はありました。
でも、準備が足りませんでした。
この経験は、その後の不動産投資に対する考え方を変えるきっかけになりました。
まとめ
今回は、私が400万円程度の区分マンションを買えなかった理由について整理しました。
当時の私は、物件そのものに対して多くの不安を感じていました。
補修費用が読めない。
入居者が決まるか分からない。
管理費や修繕積立金が垂れ流しになるのが怖い。
売却できるか分からない。
貯金を減らしたくない。
融資を使う発想もなかった。
株を売ってまで買う覚悟もなかった。
こうした不安が重なり、私はその物件を購入することができませんでした。
結果だけを見れば、利益が出た可能性のある案件だったと思います。
しかし当時の自分には、リスクを数字で分解する力も、資金調達の知識も、決断する準備も足りませんでした。
不動産投資では、安い物件を見つけることも大切です。
ただ、それ以上に大切なのは、安い物件を見つけたときに判断できる自分になっていることだと感じています。
次回【第3話】では、私が株を売れなかった理由について、もう少し詳しく書いていきます。
2019年、主力として保有していた小型不動産株が増資発表をきっかけに大きく下落し、評価額が大幅に下がっていました。
損をしていたわけではありません。
それでも、そのタイミングで株を売って不動産購入の資金に充てることには、どうしても抵抗がありました。
次回は、不動産投資のチャンスと株式投資の事情が重なった、当時の私の本当の迷いについて振り返ります。
なお、noteではこの話を、もう少し感情面・体験談寄りに書いています。
よろしければ、あわせて読んでいただけると嬉しいです。
【note版はこちら】https://note.com/next_innovation1/n/n3612a777f627?app_launch=false
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※本記事は私個人の体験談であり、特定の投資判断をすすめるものではありません。


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